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LSD換装と油脂類全交換を、6時間でやり切りました。内容は、純正オープンデフからCUSCO 2WAYへの載せ替え。加えて、ブレーキフルード・デフ・ミッション・エンジンオイルの全交換です。
今回のLSDは、新規購入ではありません。1号機から回収した、CUSCO 2WAY機械式LSDの移植です。1号機で実績を積んだセッティングを、そのまま2号機へ引き継ぎました。詳細スペックはCUSCO公式サイトでも確認できます。
この記事でわかること
- LSD換装(純正→CUSCO 2WAY)の全手順と所要時間
- ND5に必須のジャッキ3台体制(知らないと詰む)
- ブレーキフルード・デフ・ミッション・エンジンオイル全交換
- 6時間で終わらせるために要った工具、全部
- 分解で見えた修復歴あり2号機の使用歴の謎
- 換装後の2WAY試走インプレッション
本日の作業概要
| 作業 | 使用品 | 実作業時間 |
|---|---|---|
| ブレーキフルード全交換 | Dixcel DOT5.1 | 約30分 |
| LSD換装(オープン→CUSCO 2WAY) | 1号機回収品 | 約3時間 |
| デフオイル交換 | CUSCO 80W-90 | 約15分 |
| ミッションオイル交換 | CUSCO 80W-90 | 約30分 |
| エンジンオイル・フィルター交換 | AZエンジンオイル | 約30分 |
| 試走 | — | 約30分 |
| 合計 | — | 約5時間15分 |
実作業の合計は5時間15分です。ここに工具の段取りと休憩が入り、結局のところ拘束時間は約6時間でした。
先に|ND5のジャッキアップはジャッキ3台体制が必須
これを知らないと、作業が始まりません。先に書いておきます。

ND5は前後50:50の重量配分です。しかも車体中央に重量物が集中しています。そのため、FF車のように効率よく持ち上げられません。次の3台が必要になります。
| 役割 | 台数 | 用途 |
|---|---|---|
| フロアジャッキ(2t以上) | 1台 | センターのジャッキポイント |
| ローダウンガレージジャッキ | 2台 | フロアジャッキ挿入のサポート |
| リジッドラック | 4基 | 4輪を預ける |
⚠️ 1台のジャッキだけで始めると、車体が安定せず非常に危険です。
そして車高を下げたND5では、一般的なガレージジャッキがフロント下へ入りません。低床タイプが必須になります。
✅ 上げたら、必ずウマで受けてください。この日は合計6時間、ずっと車の下にいます。使用ジャッキの詳細はパンク修理の記事でも紹介しています。

まずはブレーキフルード全交換
交換前のブレーキフルードはかなりの茶色
まず、フルード交換から開始です。タンクを開けると、液体はかなりの茶色でした。2023年式・走行11,000kmから推察すると、恐らく新車から未交換です。


⚠️ ブレーキフルードは吸湿性があり、時間が経つほど沸点が下がります。サーキットでは高温になるため、劣化フルードはベーパーロックの原因です。整備の優先度が高い項目になります。
使用したのは、在庫のDixcel DOT5.1です。4輪で1本(1,000ml)をほぼ使い切り、タンク内は透明に近い状態になりました。
妻にペダルを踏んでもらいながらフル交換
ワンマンブリーダーは持っています。それでも今回は、妻にペダルを踏んでもらう方式にしました。排出フルードの色とエアかみを、自分の目で確認したかったからです。4輪のニップルを順番に開けて、目視で確かめました。

✅ ただし、毎回2人がかりというわけにはいきません。1人でやるなら、逆流を止める弁が付いたワンマンブリーダーです。ペダルを踏んで、下でニップルを開けて、の往復がなくなります。
抜いた液は、そのまま捨てられません
ところで、この日はフルード・デフ・ミッション・エンジンの4種類を抜いています。つまり合計すると、相当な量です。
⚠️ 油脂類は、下水にも一般ごみにも流せません。吸収材入りの廃油処理箱に吸わせて、自治体の区分に従って処分します。
LSD換装|純正オープンデフからCUSCO 2WAYへ
まずデフオイルを抜く
本日のメインイベント、LSD換装です。まずデフオイルを抜きます。こちらも新車から未交換の模様でした。ドレンボルトのマグネットには細かな鉄粉が付着していましたが、正常な摩耗範囲内です。


⚠️ ドレンパッキンは、必ず新品に交換します。潰れて密着する消耗品なので、再使用するとオイル滲みの原因になります。
しかも、この日だけでデフ・ミッション・エンジンの3か所です。作業の途中で足りないと気づくと、そこで止まります。だからこそ、まとめて持っておくほうが安全です。
2号機の足回りから見えた使用歴の謎
ここで、少し寄り道します。リアブレーキの分解中に、気づいたことがあるのです。
フロントと比べ、リアブレーキが驚くほど綺麗でした。走行11,000kmに見合う、新品に近い状態です。一方で車体表面の錆は多く、足回りには蜘蛛の巣が何箇所もありました。2023年式では不自然です。

状態を照合すると、次のシナリオが浮かびます。
- 2023年に新車購入、海沿いか雪国で約11,000km使用
- 2023〜2024年に事故で修復歴が発生
- 修復後、中古市場で売れずに長期保管
販売店の「なかなか売れなくて値下げした」という話とも合致します。内部はほぼ新車に近く、錆は保管環境の影響でしょう。分解すると、車の生い立ちが見えてくる。これが整備の面白さです。
✅ 修復歴あり車両は、分解して初めて生い立ちが読み取れます。状態が把握できれば、修復歴は怖くありません。
なお、ブレーキを開けたこのタイミングが、清掃の好機です。ブレーキダストと周辺の汚れを落とせるのは、年に何度もありません。
足回りを分解しドライブシャフト・PPF・プロペラシャフトを抜く
デフキャリアを降ろすには、リアブレーキの分解が必要です。さらにドライブシャフトを抜くには、足回りの分解も欠かせません。手順は多いですが、一つひとつ確実に進めました。
🔴 ここが3時間の山場です。デフキャリアの固定ボルトは、手回しでは時間が溶けます。インパクトなら、あっという間に終わります。
✅ ホイールも4本外します。純正ナットはソケットにかみ込むので、そのたびに叩いて外すことになります。



ドライブシャフトは、あっさり抜けました。PPF(パワープラントフレーム)とプロペラシャフトも、問題なく外れています。



純正オープンデフを降ろす|LSD換装の折り返し地点
最後のデフキャリアも、無事に降りました。ここが、本日のLSD換装の折り返し地点です。


新旧のデフキャリアを並べると、面白い発見があります。外観は同じでも、中身はまったくの別物なのです。
LSD換装+CUSCOデフマウントカラーを同時装着
ここからは搭載フェーズです。1号機のデフキャリア(2WAY封入済み)を、搭載位置へ運びます。

このタイミングで、デフマウントカラーも同時装着しました。ゴムブッシュを補強し、駆動の伝達ロスを減らすパーツです。トラクション向上にも寄与する、費用対効果の高い定番パーツになります。
ちなみに重量は+143g。軽量化とは逆方向ですが、この程度なら許容範囲です。

⚠️ 装着にはデフキャリア脱着が必要です。LSD換装と同時に行うと、工数を大幅に節約できます。単独でやると、この3時間をもう一度やることになります。
足回りを復旧(アライメント影響を最小化)
ドライブシャフトを差し込み、足回りを復旧します。ここで重要なポイントが一つ。アライメントに影響するロアアームは、外さずに作業しました。復旧後のアライメント再調整が不要になり、無駄な工数を省けます。

🔴 ここからはインパクトを使いません。足回りとデフ周りの本締めは、すべて規定トルクです。緩めば脱落、締めすぎれば伸びます。
LSD本体から組むなら、バイスが要ります
今回はデフキャリアごと載せ替えたので、ここは通っていません。ただし、書いておく価値があります。
LSD本体をキャリアへ組み込む場合、リングギアの本締めが必要です。規定は120N・m。手で押さえて締められる数字ではありません。
⚠️ デフキャリアを固定できるベンチバイスが要ります。ここを省略すると、キャリアが回って締まりません。WAY変更まで自分でやるなら、必須の1台です。
分解整備の実際はLSD WAY変更の記事にまとめました。
油脂類全交換
デフオイル|CUSCO LSDオイル 80W-90
LSD換装が完了したので、次はデフオイルの充填です。機械式LSDには、LSD対応オイルが必須になります。CUSCOの80W-90を選択しました。

💡 デフとミッションの両方に使うなら、20L缶が割安です。デフのみをまず試すなら、1L缶(品番010001L01)でも十分です。
🔴 買ってから気づく|そのままでは注げません
ところが、ここで初めての人は必ずつまずきます。
デフとミッションの注入口は、車体の横向きについています。しかも狭い。上から流し込むことはできません。
⚠️ 20L缶を買っても、ポンプがなければ1滴も入りません。缶と一緒に手配してください。
ミッションオイル|CUSCO 80W-90
続いて、ミッションオイルの交換です。抜いたオイルは、こちらも新車から未交換の状態でした。ドレンボルトは細かな鉄粉のみで、異常はありません。

パッキンを新品にし、CUSCO 80W-90を充填しました。デフとミッションで同じオイルを使えるので、管理がシンプルになる点もメリットです。
エンジンオイル・フィルター|AZオイルへ切り替え
最後に、エンジンオイルとフィルターの交換です。排出オイルは綺麗な状態でした。つまり販売店の「交換しましたよ」は、言葉どおりでした。
今回からAZのエンジンオイルに切り替えました。車仲間の間で「安くて品質が良い」と評判だからです。従来オイルの価格高騰も、乗り換えの理由になりました。

LSD換装後の試走インプレッション
そして全作業が完了したので、近くの人工島まで試走に出ました。

2WAYならではのリア安定感は、街乗りでも即体感できました。実際、立ち上がりでアクセルを踏んだときの「踏ん張り感」が別物です。
安全を確認できる場所で、定常円旋回も1回だけ試しました。オープンデフでは決してできない動きです。
帰路の信号待ちで、ふとオドメーターを見ました。11,111kmの切り番です。

この数字を見て、改めて再認識しました。表面の錆とは裏腹に、この車の内部は新車に近い。修復歴ありを選んで正解だったと確信できた1日でした。
よくある質問|LSD換装について
Q. LSD換装はDIYでできる?
可能です。ただし、足回り分解とデフキャリア脱着には専用工具が必要です。加えて、ジャッキ3台体制が必須になります。
今回のようにデフキャリアごと載せ替える場合は、これで完結します。一方、LSD本体をキャリアに組み込むなら話は別です。リングギア本締め(120N・m)に、ベンチバイスも必要になります。
Q. LSD換装に最低限いる工具は?
5つです。まず、ジャッキ3台とリジッドラック。次に、緩めるためのインパクトレンチ。さらに、締めるためのトルクレンチ。オイルを入れるポンプと、新品のドレンパッキンも要ります。
Q. LSD換装後、アライメントは取り直しが必要?
ロアアームを外さなければ不要です。今回もロアアーム非分解で進めました。そのため、交換後すぐサーキットに持ち込める状態です。
Q. 抜いた油脂類はどう処分する?
吸収材入りの廃油処理箱に吸わせ、自治体の区分に従って処分します。下水にも一般ごみにも、そのままでは出せません。この日は4種類を抜いたので、相応の量が出ました。
Q. LSD換装にかかる費用は?
今回は1号機からの移植のため、消耗品のみでした。新規ならCUSCO type-RS SpecFが実勢約10.5〜11万円です。筆者はセール時に約9.3万円で購入しました。ショップ工賃は7万円前後が相場。DIYなら、大幅なコスト削減が可能になります。
選び方と費用の内訳は機械式LSDレビューをご覧ください。
まとめ|LSD換装で2号機がフル戦闘仕様の土台を固めた
- 換装LSD:CUSCO type-RS SpecF 2WAY(1号機から移植)
- 所要時間:約3時間(足回り分解〜復旧含む)
- 同時装着:CUSCOデフマウントカラー(+143g)
- 油脂類:フルード・デフ・ミッション・エンジン全交換
- アライメント:ロアアーム非分解で再調整不要
これで、足回り・ブレーキ・ECU・コックピットに加え、LSDと油脂類が揃いました。2号機の使用歴の仮説もほぼ確定です。新車購入から短期使用、事故、そして長期在庫という経緯でしょう。次回は、いよいよセントラルへの持ち込み準備です。
【追記】その後、内装撤去とロールケージ装着で935kgを達成しました。詳しくは内装軽量化+ロールケージの記事をご覧ください。シェイクダウンでは1:35.27を記録しています。


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