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ブレーキパッドを変えると、踏み始める位置が3分の1になります。実測で、ブレーキングポイントは150m手前から50m看板付近まで変化しました。
「純正パッドのまま走って大丈夫?」。答えは、大丈夫ではありません。筆者は街乗りパッドでセントラルを走り、「止まらない…怖い」を体験しました。
2年間・約20,000kmの実使用データで解説します。結論は、使い分けです。そして使い分けるには、自分で換えられる必要があります。

この記事でわかること
- ブレーキングポイントの実測差(150m vs 50m)
- DIXCEL ES・WinmaX MC3・プロミューRACING-N+の使い分け
- 2年間・約20,000kmのリアルな耐久性データ
- 🔴 写真で見る「交換時期」の判断基準
- ピットでパッドを換えるために必要な工具
- 🔴 ブレーキフルードの交換も、1人でできます
- 使い分けがコスト・安全性の両面で最適な理由
ブレーキングポイントの実測差|約3分の1
まず、最も重要なデータからお伝えします。
| パッド | ブレーキングポイント(セントラル) |
|---|---|
| DIXCEL ES(街乗り用) | 約150m手前から踏まないと止まらない |
| WinmaX MC3(サーキット用) | 約50m看板付近まで詰められる |
ℹ️ これは「制動距離」そのものではありません。コーナー手前のどこから踏み始められるか、という差です。
同じコース・同じ車で、3分の1。つまりタイム以前に「安全に止まれるかどうか」が変わります。
⚠️ 街乗りパッドのまま走ると、連続周回でフェードが発生します。パッド交換は「速くなる投資」ではなく、「安全に走る必須コスト」と考えてください。
ℹ️ 走行の全体像はセントラルで10秒縮めた記録で解説しています。
⚠️ そして体感はあてになりません。だから私は毎回タイムを残しています。
街乗りブレーキパッドがサーキットで危険な理由
街乗り用は、低温域の扱いやすさを優先した設計です。だから連続高負荷では、性能が大幅に低下します。
高温でフェードが発生し、制動距離が大幅に伸びる。最悪は、コースアウトや接触につながります。
⚠️ 「1〜2周ならESでも大丈夫」という判断は危険です。フェードは、予告なく起きます。
そしてND5は軽量ゆえに、連続周回のブレーキ負荷が特に大きくなります。
筆者のブレーキパッド構成
| 用途 | パッド | 温度域 |
|---|---|---|
| 街乗り・ジムカーナ | DIXCEL ES | 常温〜600℃ |
| サーキット(〜2026年4月) | WinmaX MC3 | 常温〜750℃ |
| サーキット(現在) | プロミュー RACING-N+ | 100〜800℃ |
ESとMC3の組み合わせを、2年間・約20,000km使い続けました。その間、不満はゼロです。
DIXCEL ESレビュー|街乗り・ジムカーナ用
まずESは、低温からしっかり効く定番パッドです。扱いやすく、価格も安い。
ただしサーキットでは、熱に負けます。つまり「街乗り・ジムカーナ専用」と割り切るのが正解です。

筆者が買ったのは前後セットで約16,900円でした。1号機・2号機とも、街乗り側はこれです。
💡 グリスが同梱されているのは、地味に効きます。別で買う必要がありません。

⚠️ サーキット走行には使用しないでください。RS/NR-A等は、適合確認を推奨します。ラインナップはDIXCEL公式へ。
WinmaX MC3レビュー|2年使い切った完結レビュー
MC3(旧AP3の後継)は、サーキット用として2年間使い切ったパッドです。つまり寿命まで見届けた、完結レビューになります。

スペック
- 摩擦係数(街乗り):0.45〜0.55
- 摩擦係数(ミニサーキット):0.37〜0.43
- 対応温度域:常温〜750℃
- 材質:ロースチール材
ℹ️ 摩擦係数はメーカー公表値です。サーキットで効くのは、高温域でも係数が落ちない点になります。
実際の効果
高温でも効きが安定し、連続周回でタレません。そしてフェードしにくく、コントロール性が高い。
その結果、制動ポイントを詰められるようになりました。
筆者が買ったのは前後セットです。品番はMC3-1449/MC3-662で、約33,000円でした。
⚠️ Brembo装着車は別品番になります。メーカー情報はWinmaX公式へ。
🔴 写真で見る|交換時期の判断基準
「いつ換えればいいのか」。そもそも、これが一番よく聞かれる質問です。
そして答えは単純です。外して見るのが、一番早い。

⚠️ 平らに置いただけでは、残量は分かりません。側面から見てください。

🔴 バックプレートとの境目が近づいたら、交換です。つまり摩材が3mmを切るあたりが目安になります。
💡 そして外したついでに、ローターも見てください。段付きが大きければ、研磨か交換の検討が要ります。
⚠️ 作業前に、ブレーキダストは落としておきます。そのほうが状態が見えます。
💡 ホイールに付いたダストは、水圧のほうが早く落ちます。
2年間・20,000kmのリアルな耐久性
| 使用開始 | 2024年2月 |
| 使用終了 | 2026年4月(摩材を使い切り) |
| 使用期間 | 約2年 |
| 総走行距離 | 20,000km超 |
| 用途 | サーキット専用(街乗り・ジムカーナはES) |
| 減り方 | 前後とも均等 |
前後とも均等に減っていました。つまりND5の重量配分の良さも、ここに現れています。
✅ サーキット専用の使い分け運用で2年。年あたり約16,500円の計算です。
現在のサーキット用|プロジェクトミュー RACING-N+
そしてMC3を使い切りました。移行先は、プロジェクトミューのRACING-N+です。

| 項目 | WinmaX MC3 | RACING-N+ |
|---|---|---|
| 温度域 | 常温〜750℃ | 100〜800℃ |
| 摩擦係数 | 0.37〜0.55 | 0.39〜0.48μ |
| 低温側 | 常温から | 100℃から |
MC3より、高温側に振った選択です。そのぶん低温側の下限が100℃なので、街乗りには向きません。
ℹ️ 1回走っただけで、すでに焼け色が入っています。

ℹ️ 実戦評価がまとまり次第、本記事に追記します。現時点では「MC3より高温寄り」という位置づけまでです。
🔴 使い分けは、自分で換えられないと成立しません
ここまで「使い分けが正解」と書いてきました。ただし、現実的な問題もあります。
サーキット当日、ピットでパッドを換えることになります。ショップには頼めません。
| 方法 | 1回あたり | 年2回の走行会なら |
|---|---|---|
| ショップに依頼(往復2回) | 約5,000〜10,000円 | 約20,000〜40,000円 |
| 工具を買ってDIY | 0円 | 0円 |
⚠️ しかも、行き帰りは街乗りパッドで走りたいはずです。サーキット用パッドで公道を往復すると、低温で効きません。
💡 工具は1回買えば、一生使えます。1回目の交換で、ほぼ元が取れる計算です。
まず、安全に車を上げるところから
まずホイールを外さないと、何も始まりません。
⚠️ 車高調を入れていると、一般的なジャッキは入りません。
🔴 そして上げたら必ず受けます。下に手を入れる作業です。ジャッキだけは、絶対にやめてください。
💡 ナットの脱着は、インパクトが速いです。
🔴 ただし最後は、必ずトルクレンチで締め直してください。
⚠️ そしてナットは座面形状を確認してください。社外ホイールだと、純正ナットが使えない場合があります。
フロントとリアで、必要な工具が違います
ここが最初につまずくところです。ND5のキャリパーは、前後で戻し方が違います。
| ピストンの戻し方 | 必要な工具 | |
|---|---|---|
| フロント | まっすぐ押し込む | 押し込み型ツール |
| リア | 回しながら押し込む | キューブ型ツール |
⚠️ リアを無理に押し込むと、内部機構を壊します。ここを知らずに現地で詰むのが、一番よくあるパターンです。
① フロント用|ディスクブレーキピストンツール DT211
筆者が使っているのはアストロプロダクツのDT211です。フロントのピストンを、まっすぐ押し戻す工具になります。
これが無いと、新品パッドが入りません。摩耗したぶんだけピストンが出ているからです。
② リア用|キューブ型ピストンツール
リアは、押すだけでは戻りません。回しながら押し込む必要があります。
キューブ型なら、ピストンの溝に合わせて回せます。サイズ違いの面が複数あるので、1個で複数車種に対応しやすいのも利点です。
✅ この2つで、前後のパッド交換が完結します。合わせても数千円です。
💡 そしてスライドピンには、グリスを塗り直します。固着すると片減りします。
ℹ️ 暗いピットでの作業なら、手元を照らすものがあると確実です。
🔴 ブレーキフルードの交換も、1人でできます
パッドを換えるとき、ピストンを押し戻します。そのぶんのフルードがリザーバーへ戻るので、レベルを必ず確認してください。

⚠️ 溢れると、塗装を痛めます。
そしてサーキットを走るなら、フルードの劣化は制動力に直結します。沸点が下がると、パッドがどれだけ良くても止まりません。
💡 ワンマンブリーダーなら、助手は要りません
そもそもフルード交換は、2人作業だと思われがちです。
✅ 逆流防止弁つきのホースがあれば、1人で完結します。ペダルを踏んで、抜けた分を足すだけです。

⚠️ 抜いた古いフルードは、はっきり茶色くなっています。つまり見れば交換時期が分かります。

| 使い方 | 交換サイクル |
|---|---|
| 街乗りメイン | 2年に1回の全量交換 |
| サーキットを頻繁に走る | シーズンごと |
筆者が買っているのはDIXCEL DOT5.1の1L缶で、約2,500円です。1缶でND5の全量交換ができます。
⚠️ 開封後は吸湿が進みます。次回は新品を使ってください。ここをケチると、パッドの性能が出ません。
交換にかかる時間
慣れれば、ピットで30分程度です。ホイールを外して、キャリパーを開けて、ピストンを戻して、パッドを入れる。
ℹ️ 作業の様子は足回り全交換の記事で公開中です。
⚠️ 走る前に、保険を確認してください
そしてパッドを換える段階なら、走行会に出る方がほとんどだと思います。
多くの自動車保険は、競技やそのための走行を免責としています。つまりコース上で壊しても、車両保険は出ません。
⚠️ 対象になるかは契約で違います。だから一度、約款をご確認ください。
私の任意保険は年34,570円です。契約内容はロードスターの任意保険の記事で公開しました。
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ブレーキパッドを使い分けるべき3つの理由
- サーキットの安全:フェードによるコースアウトを防げる
- 日常の安全:街乗り用は低温から効くため、通勤や買い物でも安心
- コスト:高価なサーキット用を温存でき、トータルで安く済む
兼用は、どちらも中途半端になります。つまり良いことはありません。
こんな人におすすめ
| 向いている人 | まだ不要な人 |
|---|---|
| サーキット走行派 | 街乗り・ワインディングのみ |
| フェードを経験したことがある | DIXCEL ES一本で十分 |
| 安全にタイムを縮めたい | — |
| 自分で整備したい | — |
💡 そしてブレーキを強化したら、次はタイヤです。止まる力は、最後はタイヤが受け止めます。
ℹ️ 冬や朝イチが多いなら、低温に強い銘柄が安心です。
⚠️ そして足が柔らかいと、ブレーキを踏んだ瞬間に前が沈みます。
ℹ️ 車高を変えたら、アライメントも動きます。だから確認はセットです。
⚠️ キャンバーも同時に見ておくと、片減りの原因が切り分けられます。
よくある質問
Q. 純正ブレーキパッドでサーキットは走れる?
おすすめしません。連続周回でフェードが、予告なく起きるからです。街乗りパッドでは、150m手前から踏んでも止まりませんでした。
Q. ブレーキパッドの交換時期は?
摩材の厚みを、側面から見て判断します。バックプレートとの境目が近づいたら交換です。目安は3mmを切るあたり。平らに置いただけでは分からないので、必ず横から確認してください。
Q. ブレーキングポイントはどれくらい変わる?
実測で、150m手前から50m看板付近へ。約3分の1になりました。タイム以前に、安全性の差です。
Q. MC3の寿命はどれくらい?
使い分け運用で、約2年・20,000km超を走り切りました。年あたり約16,500円の計算です。サーキット専用として使えば、2シーズン以上は十分に持ちます。
Q. パッド交換は自分でできる?
できます。ただしフロントとリアで必要な工具が違います。フロントは押し込み型、リアは回しながら押し込むキューブ型。この2点があれば、ピットでの交換も可能です。
Q. リアのピストンを押し込めないのですが
リアは回しながら戻す構造です。まっすぐ押しても入りません。力任せに押すと、内部機構を壊します。キューブ型のピストンツールを使ってください。
Q. ブレーキフルードの交換は1人でできる?
できます。逆流防止弁つきのワンマンブリーダーを使えば、助手は不要です。ペダルを踏んで、リザーバーに減った分を足すだけ。抜けたフルードが茶色ければ、交換時期を過ぎています。
Q. サーキット当日に交換するのは大変では?
慣れれば、ピットで30分程度です。手間より、フェードのリスクのほうが大きいと考えています。そもそもサーキット用パッドで公道を往復すると、低温で効きません。
まとめ|使い分けが安全とコスパの最適解
サーキットを走るなら、ブレーキパッドの使い分けは必須です。3分の1という差は、「安全に止まれるか」の差だからです。
- 街乗り用パッドは150m手前から踏んでも止まらない
- サーキット用なら50m看板まで詰められる
- 街乗り・ジムカーナはDIXCEL ES、サーキットはMC3かRACING-N+
- MC3は2年・20,000kmで使い切り(年約16,500円)
- 🔴 交換時期は、摩材を側面から見て判断する
- 使い分けるなら、ピットで換えられる工具が要る
- フロントは押し込み型、リアはキューブ型。前後で違う
- 🔴 フルード交換も、ワンマンブリーダーで1人でできる
迷ったら、街乗り・ジムカーナはES、サーキットはMC3を選んでください。そして工具を2つ揃えれば、その日から自分で換えられます。
【追記】その後、2号機にも新品のDIXCEL ESを投入しました。作業は2号機の足回り全交換記事で紹介しています。


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