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LSDの組み込みが、ついに完了しました。リングギア本締め120N・m、バックラッシュ確認。そして液体ガスケット封入とシール圧入。デフキャリアの総重量は、実測20.6kgです。
この記事では、その全6工程を公開します。あわせて、各工程で実際に使った工具もすべて挙げます。途中で止まらないためです。
前回はCUSCO SpecFのWAY変更を実施しました。つまり1.5WAYから2WAYへの変更です。ただしベンチバイスがなく、リングギア仮締めで中断しています。経緯はWAY変更の記事にまとめました。詳細スペックはCUSCO公式サイトで確認できます。
この記事でわかること
- 6工程で実際に使った工具、全部
- ベンチバイスでのリングギア本締め手順(120N・m)
- バックラッシュ確認方法(規定値0.09〜0.11mm)
- 液体ガスケット封入の鉄則(塗布量と速度感)
- 塩ビパイプでのオイルシール代用圧入
- 20Lペール缶を買ったあとに困ったこと
- デフキャリア総重量の実測値(20.6kg)
🔴 6工程で使った工具、全部
まず、まとめておきます。1つでも欠けると、その工程で止まります。実は筆者も前回、バイスがなくて数日止まりました。
| 工程 | 必要な工具 | 代用 |
|---|---|---|
| Step2 リングギア本締め | ベンチバイス+トルクレンチ | 🔴 不可 |
| Step3 バックラッシュ確認 | ダイヤルゲージ | △ 手の感覚 |
| Step4 ガスケット塗布 | 液体ガスケット | 🔴 不可 |
| Step5 カバー本締め | トルクレンチ | 🔴 不可 |
| Step6 シール圧入 | 専用SST | ✅ 塩ビパイプ+プラハン |
| オイル封入 | オイルポンプ(20L缶の場合) | △ 小分け容器 |
⚠️ 「🔴 不可」の3つは、先に揃えてから始めてください。デフキャリアを分解した状態で数日待つのは、精神的にきついです。
ℹ️ なおダイヤルゲージとマグネットスタンドは、借り物でした。そのため品番は挙げられません。ただし正確を期すなら、必要になる道具です。
LSDの組み込み|全6工程の作業記録
Step1:ベンチバイスBB-200 到着・設置
注文から数日で、KIKAIYAのBB-200が届きました。開けると、想像以上の重量感です。作業台への固定も問題なく完了しました。

| 口幅 | 200mm |
| 口開き | 230mm |
| 口深さ | 102mm |
| 質量 | 約40kg |
デフケース(外径約100mm)の固定には、口深さ100mm以上が必須です。このクラスで条件を満たす、貴重なモデルでした。
⚠️ 説明書に重要な記載がありました。「雨のかかる屋外での使用・設置は不可」です。スクリューやガイドレールの腐食を防ぐためです。つまり屋内ガレージへの設置が前提になります。
💡 ちなみに分解でボルトを緩めるときは、インパクトレンチを使いました。リングギアは120N・mで締まっているので、手工具だとここで消耗します。
Step2:リングギアボルトの本締め(120N・m)
次に、バイスにデフケースを固定して本締めを行います。トルクは120N・m、対角順に均等です。ボルトは計10本。
| 順番 | トルク | やること |
|---|---|---|
| 1周目 | 60N・m | 全10本を対角順に |
| 2周目 | 120N・m | 同じ順で本締め |


⚠️ ここは感覚で締めていい場所ではありません。緩めば走行中に外れ、締め過ぎればボルトが伸びます。どちらも致命的です。
筆者が使ったのはBALのプレセット型です。設定範囲28〜210N・m、差込角12.7mm、精度±3%。120N・mが中央付近に入るので、精度の面でも余裕があります。
💡 このあとのStep5(デフカバー本締め)でも同じレンチを使います。ホイールナットの規定トルクも同じ範囲なので、1本持っておくと出番が多いです。
⚠️ そして本締めの前に、ネジ山へ焼き付き防止剤を薄く塗ります。次に開ける人が困りません。
Step3:LSD本体の組み込み・バックラッシュ確認
そして本締め済みのLSD本体を、ハウジングへ戻します。サイドベアリングのプリロードを確認しながら、慎重に組み込みました。

この段階で、バックラッシュ(ギアの噛み合いのガタ)を確認します。厳密にはダイヤルゲージでの測定が正しい手順です。
ℹ️ ただし今回は正常動作していたユニットを戻す作業です。だから手でリングギアを揺らす、感覚確認を選びました。新品を組む場合や、シム調整が絡む場合は、必ず実測してください。

規定値はサービスマニュアルで0.09〜0.11mmとされています。正確な数値は必ずマニュアルで確認しましょう。
Step4:封入前の液体ガスケット塗布
⚠️ 塗る前に、古いガスケットを完全に落としてください。残っていると、新しいものが効きません。
手作業でも落とせますが、合わせ面は1周ぐるりとあります。電動のスクレーパがあると、ここが一気に終わります。
⚠️ そのあと、必ず脱脂します。油分が残っている面に塗っても、密着しません。
ここまで済ませてから、液体ガスケットを塗布します。ポイントは次の3点です。
- 合わせ面の全周に、均一な細さで塗る
- ボルト穴の内側に、はみ込まないよう注意する
- 塗布後は、硬化前に速やかに組み付ける

⚠️ 「少し足りないかも」くらいが適量です。過剰に塗ると、はみ出した硬化物がデフ内部に落下するリスクがあります。ギアに噛み込んだら、もう一度全部開けることになります。
筆者が使ったのはホルツの汎用タイプです。60gで、デフカバー1回分には十分すぎる量でした。
Step5:デフカバーの本締め
規定トルクをマニュアルで確認し、トルクレンチで対角順に締めます。ガスケットが均等につぶれるよう、2ステップに分けるのが基本です。
⚠️ そして封入オイルは、LSD対応のGL5規格が必須です。通常のミッションオイルでは、プレートが保ちません。
Step6:オイルシールの圧入(塩ビパイプ活用)
最後にオイルシールを圧入します。本来は専用ツール(SST)が正攻法です。

ところが今回は、コーナンの塩ビパイプで代用しました。方法は、パイプをシール外径に当ててプラハンで叩き込むだけです。
⚠️ ただし、一点集中はNGです。傾いて入るとオイル漏れの原因になるので、外周を均等に少しずつ押し込みます。金属ハンマーは使わないでください。

✅ コストは数十円です。専用工具より圧倒的に安く済みました。購入前に、シール外径の実測を忘れないでください。
🔴 古いオイルは、抜いた瞬間から困ります
作業記録には書きにくい部分ですが、ここで一度触れておきます。デフを開ければ、必ず古いギアオイルが出ます。
⚠️ しかもギアオイルは、エンジンオイルよりはるかに臭います。床にこぼすと、においがしばらく残ります。受け皿を先に用意してください。
そして抜いたオイルは、そのまま捨てられません。吸収材入りの処理ボックスに吸わせて、自治体のルールに従って処分します。
LSDオイルは20Lペール缶を選んだ
そして新しいオイルです。筆者は20Lのペール缶を選びました。理由は4つあります。
- ZC33Sスイフトスポーツと共用できる(FF車なのでミッションとデフが同じオイル。チャタリングも出ていない)
- ND5でもミッションオイルと共用できる。2台まとめて1缶で回せる
- 置き場所の管理が楽になる。1L缶を何本も並べずに済む
- 半端に余った缶が出ない。必要な量だけ取り出せる
| 購入価格 | 39,180円 |
| 容量 | 20L |
| 1Lあたり | 1,959円 |
🔴 ところが、注げませんでした
ここが、今回いちばんの誤算です。20Lのペール缶は、総重量が20kgを超えます。
⚠️ 持ち上げて傾けて注ぐ、という発想が成立しません。しかもデフの注入口は、車の下の狭い場所にあります。
✅ ペール缶を買うなら、ポンプは同時購入です。これがないと、せっかく安く買ったオイルが使えません。
💡 1Lずつ試したいだけなら、小容量を買うほうが結局は手軽です。缶のサイズは、置き場所と注ぎ方まで含めて決めてください。
LSDの組み込み完了|デフキャリア総重量は実測20.6kg
すべての組み付けが完了し、総重量を計測しました。結果は20.6kgです。

ND5のデフキャリアは、オールアルミ製です。スチール製が多い同クラスFR車より、かなり軽量になります。それでも20kgを超えました。
🔴 20.6kgを、一人で抱えないでください
⚠️ 実測20.6kgは、一人での脱着が現実的でない重さです。しかも車の下で、頭上に持ち上げながら位置を合わせることになります。
作業前に「ミッションジャッキか二人体制」を必ず確保してください。そして車体は、ジャッキだけで支えないでください。
⚠️ しかも車高調が入っている場合は、一般的なジャッキが入りません。ローダウン対応の低床タイプが必要です。筆者が使っているのは2.5tのデュアルポンプ式になります。
💡 一方、軽さ重視で持ち運ぶなら2tの低床タイプです。サーキットへ積んでいくなら、こちらが扱いやすくなります。
ℹ️ そして車の下は、思っている以上に暗いです。頭に付けるライトがあると、作業が止まりません。
降ろすなら、マウントカラーも同時に
ここまでやるなら、ついでにもう1つ。
✅ デフマウントカラーは、単体の効果を切り分けられた数少ないパーツです。セントラル9セッション中、タイヤ同一条件で▲0.198秒。1万円台で、増える重量は143gだけでした。
💡 そして同じ理屈で、強化エンジンマウントもこのタイミングです。どちらも駆動系の揺れを抑える部品なので、セットで効きます。
ℹ️ 検証の詳細はエンジン・デフマウントの記事へ。デフを触るこのタイミング以上に、安く済む機会はありません。
⚠️ ホイールを戻すところまでが作業です
そもそもデフを触るなら、必ずホイールを外しています。戻すときの締め付けも、デフと同じくらい重要です。
⚠️ 社外ホイールなら、ナットの座面形状が純正と合いません。専用のレーシングナットを使ってください。
💡 ついでに空気圧も見ておきます。ジャッキアップで数日置くと、意外と抜けています。
執筆時点では、2号機の納車待ちでした(4月18日納車)。そのため、完成したデフキャリアは梱包して保管しています。

実走インプレッションは、すでに公開済みです。2WAYの実戦評価は舞洲ジムカーナ80参戦記へ。また搭載作業の全記録は、LSD換装+油脂全交換の記事にまとめました。
💡 組んだあとの効果を数字で見たいなら、ロガーがあると確実です。同じコースで前後比較すれば、体感ではなくデータで語れます。
よくある質問|LSDの組み込みについて
Q. LSDの組み込みはDIYでできる?
可能です。ただしリングギア本締めには、ベンチバイスとトルクレンチが必須になります。120N・mだからです。固定する道具と締める道具、両方が要ります。脱着に不安がある場合は、ショップ依頼を推奨します。
Q. 必要な工具をまとめると?
本締めはベンチバイスとトルクレンチ。封入は液体ガスケット。そして圧入に塩ビパイプとプラハンです。20L缶のオイルを使うならポンプも要ります。車から降ろすなら、ローダウン対応ジャッキとリジッドラックも必要です。
Q. ガスケットを塗る前に、何をすればいい?
2つあります。古いガスケットを完全に落とすこと、そして脱脂することです。どちらかを省くと、新しいガスケットが密着しません。合わせ面は1周ぐるりとあるので、電動スクレーパがあると早く終わります。
Q. バックラッシュはダイヤルゲージなしで確認できる?
感覚での確認は可能です。正常動作していたユニットを戻す今回は、手で揺らして判断しました。ただし、正確な数値が必要ならダイヤルゲージで実測してください。規定値はマニュアルを参照します。
Q. オイルシール圧入に専用工具は必要?
塩ビパイプで代用できます。外径に合わせて選べば、均等に圧力をかけられるからです。サイズが合わないと、傾いてオイル漏れに直結します。購入前に必ず、外径を実測してください。
Q. 20L缶と1L缶、どちらを買うべき?
試すだけなら小容量です。筆者は2台分・ミッションとも共用するので20L缶を選びました。1Lあたり1,959円です。ただし20kg超あるので、ポンプを同時に買わないと注げません。ここは見落としがちです。
まとめ|LSDの組み込みで押さえる点
- リングギア本締め:60N・m→120N・mの2ステップ
- ベンチバイスとトルクレンチは、両方ないと締められない
- バックラッシュ:規定値0.09〜0.11mm(要マニュアル確認)
- ガスケットは、剥がす・脱脂する・塗るの3手順
- 液体ガスケット:少なめ・均一・速やかが鉄則
- シール圧入:外径に合う塩ビパイプで代用可能(数十円)
- 20L缶を買うなら、ポンプも同時に
- 総重量:実測20.6kg(二人体制かジャッキ必須)
つまり今回の作業で実感したポイントは3点です。ベンチバイスは「ないと作業できない」工具であること。液体ガスケットは少なめ・均一・速やかが鉄則であること。そして、塩ビパイプ圧入が実用的に機能することです。
LSD選びで、まだ迷っているなら
ここまで読んで「そもそもどのLSDを買うか」で迷っている方へ。
筆者が組んだのはCUSCO type-RS SpecFです。型番はLSD429LT15。1.5WAY・2WAY両対応設計で、シャフト移設だけでWAY変更が完結します。なおDIYで、総額約10万円でした。
一方、効きの立ち上がりを最優先するならOS技研です。ドリフトやジムカーナで定評があります。
そしてATSは、カーボンプレートを使ったモデルが特徴です。チャタリングが出にくく、街乗りとの両立を重視する方に向きます。
⚠️ ただしOS技研もATSも、WAY変更は後からできません。買う時点で決め切る必要があります。迷っているなら、後から変えられるSpecFが安全な選択です。
💡 選び方の詳細は機械式LSDレビューをご覧ください。
ℹ️ 追記|その後、2号機への搭載が完了しました。詳しくはLSD換装+油脂全交換の記事へ。2WAYの実戦評価は舞洲ジムカーナ80参戦記をご覧ください。


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