修復歴あり2号機のホイールベース差を測定してわかったこと|IKEYA FORMULA MAPLE A-ONE GAGEでDIYアライメント調整【ND5ロードスター】

ND5ロードスター 運営者 チューニング

アッパーアームが歪んでいるなら、ホイールベースも変化しているはずだ。

修復歴あり2号機の足回りをTEIN MONO SPORTに換装した翌日、友人のアドバイスをきっかけにホイールベースを実測してみた。結果は予想通り、左右で7mmの差があった。この記事では、その発見から始まった2号機のDIYアライメント調整の全記録を書いておく。

アッパーアームの変形がホイールベースに与えた影響

前回の記事(4/19作業)で、クラッシュダメージにより変形していることを確認していた。正常な状態ではアッパーアームの三角形の中心にサスペンションが収まるが、助手席側はその位置関係がズレていた。

フロントアッパーアーム正常
フロントアッパーアーム異常

友人に相談したところ、「アッパーアームが歪んでいるなら、ホイールベースの左右差を測ってみたほうがいい」とアドバイスをもらった。なるほど、と思いすぐに実測した。

結果は以下の通りだ。

測定箇所ホイールベース
運転席側2,305mm
助手席側2,298mm
左右差7mm

アッパーアームが車両後方方向にいがんでいるため、助手席側のホイールベースが7mm短くなっていた。つまり、物理的にフロント左輪が7mm後方にズレた状態で走っていることになる。

ただし、ここで冷静に考えた。歪んだ車体構造を物理的に正す手段は、アッパーアーム取り付け箇所のフレーム修正しかない。そして今日できることは、現状の車体でアライメントをできる限り詰めることだ。また、昨日のワインディングでの走りが悪くなかったこともあり、IKEYA FORMULA MAPLE A-ONE GAGEを使って調整に入ることにした。

自宅DIYアライメントの準備|1号機から受け継いだ専用ステージ

まず、アライメント測定の前提条件を整えた。

アライメント測定は、水平な地面で1G状態(車両に荷重がかかった通常の姿勢)で行う必要がある。したがって、1号機の頃から使用してきたオレンジ色でマーキングした専用ステージに2号機を配置した。このステージはすでに水平出しが完了しており、測定のたびに同一条件を再現できる。

アライメント測定・調整開始
アライメントステージへ車両を配置

フロントはブロック塀2個にかさまし板(ベニヤ板)を加えた高さ(水平出し済み)、リアはブロック塀2個が基準点だ。この組み合わせで前後の水平を確保している。

フロントはブロック塀2個プラスかさまし板(水平出し済み)
リアはブロック塀2個(基準点)

1G測定のための「作業空間確保ブロック」

アライメント調整で見落とされがちなのが、1G状態での作業環境だ。

ND5ロードスター特有のフロントキャンバー&キャスターやリアキャンバー&トーの調整は、体を車体の下に潜らせ、19mm/17mmロングメガネレンチやトルクレンチをかける空間が必須である。ところが、車体をリジットラックでサスペンションが伸び切ったまま4輪アライメント調整を行なうことは不可能だ。なぜなら、サスペンションは荷重(伸び縮み)によってアライメント数値が変化するからだ。

そこで私が活用しているのが「アライメント作業空間確保用ブロック」だ。車体の下に潜るための隙間を確保しつつ、車両への荷重(1G状態)を維持したまま作業できる環境を作る。したがって、測定と調整を繰り返す精度の高い追い込みが可能になる。

アライメント作業空間確保用ブロック
車両をアライメントステージへ設置完了

アライメントゲージ一式の準備

久々に、IKEYA FORMULA MAPLE A-ONE GAGEを含むアライメントゲージ一式を引き出した。これまで1号機で10回以上の調整実績があるため、使い方は体が覚えている。IKEYA FORMULA公式サイトはこちら。

アライメントゲージ一式

調整手順と最終測定値

今回の調整は以下の順番で進めた。

  1. リア助手席側:キャンバー調整 → トーをゼロに設定
  2. フロント助手席側:キャスター&キャンバー調整 → トーをゼロに設定
  3. フロント運転席側:キャスター&キャンバー調整 → トーをゼロに設定
  4. リア運転席側:キャンバー調整 → トーをゼロに設定
アライメント測定・調整作業風景1
アライメント測定・調整作業風景2

キャンバーの狙いは1号機と同じ「ネガティブキャンバーMAX・トーゼロ・キャスターは立てる方向」だ。なお、2号機はフロントにカーミットベースの偏芯カラーを入れていないため、1号機のように-3°以上をつけることは物理的にできない。したがって、今回のフロントキャンバーはその制約内での最大値となった。

最終的な測定値は以下の通りだ。

ポジションキャンバートー
フロント 運転席側−2.83°
フロント 助手席側−2.77°
リア 運転席側−3.03°
リア 助手席側−3.02°
フロント助手席側キャンバー値トー角ゼロ
フロント運転席側キャンバー値トー角ゼロ
リア助手席側キャンバー値トー角ゼロ
リア運転席側キャンバー値トー角ゼロ

フロントはホイールベース7mm差がありながら、キャンバーの左右差は0.06°に収まった。リアは左右差0.01°とほぼ誤差ゼロだ。また、トーは4輪すべてゼロで揃えることができた。

作業を支えた2つの工具

今回のアライメント調整で特に活躍した工具を2つ紹介する。

IKEYA FORMULA MAPLE A-ONE GAGE

👉 キャンバー・トー・キャスターを1G状態で測定できるDIY向けアライメントゲージ。1号機から10回以上使ってきた信頼性の高い製品です。精度・再現性ともに申し分なく、DIYでここまで詰めることができる理由はこのゲージにあります。
⚠️ 水平出しされた場所での使用が前提です。傾斜地では正確な測定ができません。

ベッセル 電動ドライバー

ベッセル電動ドライバー

👉 MAPLE A-ONE GAGEの取り付け・取り外しネジを素早く脱着するために購入しました。4輪分を繰り返し脱着する作業で、手回しと比べて圧倒的に時短になります。作業性の向上に直結するアイテムで、アライメント調整の頻度が高い方には特におすすめです。また、自動車整備DIYだけでなく、一般家電製品等でも活用できる非常に汎用性に優れた工具です。VESSEL公式サイトはこちら。
⚠️ トルク管理が必要なネジへの使用は避け、締め付けはドライバーで手仕上げしてください。

マキタインパクトレンチ

👉 ホイール脱着作業の時短に直結するアイテム。マキタのインパクトレンチは出力・耐久性ともに信頼性が高く、DIY整備の定番工具です。マキタ公式サイトはこちら。みんカラでも実際の使用レビューを書いています。
⚠️ 締め付けは必ずトルクレンチで規定値に仕上げてください。インパクト本締めはNG。

調整後の試走|ステアリングセンターも完璧

アライメント調整完了後、近所を試走した。

ステアリングを手放すと、まっすぐ走る。センターのズレもなく、修正操舵が必要な場面はなかった。また、前日のワインディングとは異なり、より接地感が明確になった印象を受けた。つまり、アライメントの追い込みによって、足回りからの情報量が増えたと感じる。

ホイールベースが左右で7mm異なるという事実はある。しかし、その影響が走りにどう出るかは、街乗りやワインディングレベルでは判断が難しい。したがって、最終的な評価はセントラルサーキットでの全開走行後に下す予定だ。

アライメント測定・調整完了

修復歴あり個体のアライメントに向き合って気づいたこと

今回の作業を通じて、修復歴あり個体のアライメント調整には「測定」と「受け入れ」の両方が必要だとあらためて感じた。

ホイールベースの左右差7mmは、ゲージや調整では解消できない物理的な事実だ。なぜなら、アッパーアームそのものが変形しているからだ。したがって、今回の調整で得られたのは「現状の車体で出せる最善のアライメント」であり、「完璧な状態」ではない。

それでも、キャンバーの左右差0.06°・トー全輪ゼロ・ステアリングセンター完璧という結果は、十分に追い込めたと判断している。25年間のDIY整備経験と10回以上のMAP A-ONE GAGE使用実績から、このセッティングでセントラルサーキットに臨める水準だと、自分の本能が言っている。

まとめ

修復歴あり2号機のアライメント調整が完了した。

アッパーアームの変形によるホイールベース左右差7mmという現実を確認しつつ、IKEYA FORMULA MAPLE A-ONE GAGEを使ってキャンバー・トーを詰めた。その結果、フロントキャンバー左右差0.06°・リア左右差0.01°・全輪トーゼロ・ステアリングセンター完璧という数値が出た。

つまり、2号機は名古屋から持ち帰ってから3日で、車高調・ブレーキ・アライメントまで一通りの整備を完了したことになる。次の課題はセントラルサーキットでの全開走行だ。ホイールベース差の影響が実際の走りにどう出るかを確かめる。

この記事で紹介したパーツ・工具一覧

パーツ・工具用途備考
IKEYA FORMULA MAPLE A-ONE GAGEキャンバー・トー測定DIYアライメントの核心ツール
ベッセル 電動ドライバーゲージのネジ脱着作業時間を大幅短縮
マキタ インパクトレンチホイール脱着前記事(4/19)でも使用

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🔧 このアライメント調整のきっかけとなった前日4/19の全作業記録|アッパーアーム変形発見・車高調+ブレーキフル交換 →【修復歴あり2号機を走れる状態にする|TEIN MONO SPORT+ディクセルES全交換】

🏎️ このアライメントを含む全準備を経て挑んだ2号機セントラルサーキット初走行 →【ND5セントラルサーキット 2号機シェイクダウン|ABS死亡でも1:35.27】

🚗 アッパーアーム変形の根拠となった「修復歴あり」個体の入手経緯と現車確認の全記録 →【ND5ロードスター2号機 納車日記|名古屋まで新幹線で取りに行って、帰路300kmで見えた修復歴ありのリアル】

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