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ABSエラーの原因は、SASモジュールの角度ズレでした。取り付け角度が30°傾いていたのです。角度を戻した結果、エラーは完全に消えました。セントラルサーキットの検証走行では、1分35秒906を記録しています。
先に、いちばん大事なことを書きます。この30°を作ったのは、自分です。軽量化のときに固定金具を撤去し、適当な位置に付け直していました。つまり自分で仕込んだ不具合を、1か月かけて追いかけていたわけです。
この記事では、診断から修理、検証走行までの全記録をまとめます。エラー多発からの経緯はトラブルシューティング全記録にあります。あわせてご覧ください。
この記事でわかること
- ABSエラー多発の真の原因(SASモジュールの角度ズレ)
- 厚見自動車さんでの2回のドックインと原因特定の全過程
- 軽量化で外していいもの、外してはいけないもの
- 固定金具の借用・自作によるDIY修復の手順と道具
- セントラル検証走行でABSエラーゼロを確認した結果
先に結論|30°のズレと、消えた警告灯
まず、今回の結果を並べます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 症状 | 特定コーナーでABS警告灯が100%点灯 |
| 原因 | SASモジュールが30°傾いて固定 |
| 引き金 | 軽量化での固定金具の撤去(自分の作業) |
| 誤検知の条件 | 横G 1.1〜1.2G |
| 対策 | 固定金具で正規角度に戻す |
| 検証結果 | エラーゼロ/1分35秒906 |
✅ 部品は1つも壊れていませんでした。センサーもアクチュエーターも正常です。狂っていたのは、取り付け角度だけでした。
2号機はなぜABSエラーが多発していたのか
2号機は修復歴あり車両です。購入時から、助手席側アッパーアームの変形が疑われていました。つまり、どこかに問題を抱えている可能性があったわけです。
サーキット走行中にABSエラーが出ると、メーターにオレンジ色の「!」が点灯します。消すには、最終コーナー通過後にエンジンを切るしかありません。これでは全開走行が不可能です。

6/6の大阪舞洲ジムカーナに向けて、早急な解決が必要でした。そこで信頼できる整備工場の厚見自動車さんへ、持ち込むことにしました。
自分で確認できるのは、エラーコードまででした
まず持ち込む前に、手元のスキャナーで読める範囲を全部読みました。ただしエラーコードは、走行直後でないと残りません。
✅ 走った直後にその場で読む。これができるかどうかで、整備工場に渡せる情報量が変わります。今回はこれが決め手になりました。
⚠️ 本体だけでは動きません。スマホに「Car Scanner」などのアプリが要ります。Bluetoothで繋いで使う形です。
厚見自動車さんへの1回目ドックイン
最初の診断では、修復歴を踏まえた判断が下されました。ABSアクチュエーターかエアバッグECUの問題、という見立てです。
まずDSC関連部品のセンサー初期化を実施してもらいました。しかし、その後のセントラルサーキット走行で同じエラーが再発。初期化だけでは、根本的な解決になりませんでした。
初期化で消えなかったことに、意味がありました
このときは落ち込みました。しかし振り返ると、これは重要な情報です。
つまり初期化で直るなら、原因は「学習値のズレ」です。一方で直らないなら、原因は「物理的な何か」になります。1回目のドックインは、無駄ではありませんでした。
2回目ドックイン|ABSエラーの原因特定
セントラルサーキット走行後にOBD2でエラーを記録し、そのまま厚見自動車さんへ直行しました。
2回目の診断では、OBD2のダイアグを改めて詳しく解析してもらいました。その結果、縦方向加速度信号が複数回表示されていると判明します。

この信号は、Gセンサーから検出されるものです。つまりGセンサー内蔵のSASモジュールに問題がある、と絞り込まれました。
SASモジュールの角度がABSエラーの原因だった
実車を確認したところ、担当の方はすぐに異変に気づきました。SASコントロールモジュールが、斜めに固定されていたのです。

SASコントロールモジュールは、ECUとGセンサーが一体化した部品です。取り付け角度がズレると、Gセンサーの測定値もズレます。サーキットで横Gが1.1〜1.2Gかかったとき、誤検知が起きていたと考えられます。
なぜ街乗りでは出なかったのか
ここが分かりにくいところです。しかし答えは単純で、横Gの大きさにあります。
| 場面 | 横G | エラー |
|---|---|---|
| 街乗りのカーブ | 0.3G前後 | 出ない |
| 峠のペースで曲がる | 0.6G前後 | 出ない |
| サーキットの全開 | 1.1〜1.2G | 100%発生 |
✅ 傾いたセンサーは、横Gの一部を縦Gとして拾います。Gが小さいうちは、その誤差もしきい値に届きません。だから街乗りでは出ないのです。
軽量化の際に固定金具を廃棄していた
1号機でも、軽量化のために固定金具を撤去していました。しかし1号機では、ABSエラーは発生していません。
理由はシンプルです。1号機は金具なしでも、たまたま角度が90°に近い状態でした。一方2号機は、30°傾いた状態で固定されていたのです。
そこで「SASモジュール周辺の軽量化を行なったか」と確認されました。正直に「行なった」と回答します。すると「固定金具を元に戻しましょう」と指示が出ました。ただし金具はすでに廃棄済み。困ったことになりました。
🔴 軽量化で外していいもの、外してはいけないもの
この失敗から、ようやく線引きがはっきりしました。しかも基準は単純です。重さだけで判断してはいけません。
| 区分 | 例 | 判断 |
|---|---|---|
| 内装の板もの | トリム・カーペット・断熱材 | 外してよい |
| 遮音材 | アスファルトシート | 外してよい |
| センサーの台座 | SASモジュールの固定金具 | 外してはいけない |
| センサーの台座 | ヨーレートセンサーのブラケット | 外してはいけない |
| 配線の固定 | ハーネスクランプ | 外してはいけない |
⚠️ 判断基準は「角度や位置に意味があるか」です。たとえば板ものは、どこに置いても機能が変わりません。しかしセンサーの台座は、角度そのものが仕様です。
詳しい作業内容は内装軽量化とロールケージ装着の作業記録にまとめました。
1g単位で測ると、外す価値が見えます
今回の固定金具は、数十gの部品でした。数十gのために、2か月を失ったわけです。
✅ 外す前に測れば、この判断ができます。吊りはかりなら、部品を引っ掛けるだけで読めます。「これは外す価値があるのか」を、感覚ではなく数字で決められます。
在庫車両から固定金具を借用
純正部品(品番:N247-57-KX0A)の新品は、メーカー在庫なしでした。納品は7月中旬とのこと。つまり待ち時間は、約2か月になります。
そこで厚見自動車さんの在庫ND5車両から、固定金具をお借りしました。SASコントロールモジュールを、正しい角度で固定できています。

ステアリングセンターの補正は自分で実施
OBD2の診断では、もう一つの問題も検出されました。ステアリングセンターのズレです。「タイロッドで補正してください」との指示。これは自分でできる作業です。
なぜセンターズレがABSに関係するのか
ここでSASモジュールは、舵角センサーの信号も扱います。つまり「今どれだけ切っているか」を見ています。
⚠️ センターがズレていると、直進でも「切っている」と判定されます。そこへ傾いたGセンサーが重なると、車両の姿勢推定が二重に狂います。
メイプルA-1ゲージでトーを追い込む
5月22日の朝一番に、イケヤフォーミュラのメイプルA-1ゲージで調整しました。このゲージによるトー調整は、精度が非常に高い。フロントのトーを微調整し、センターをしっかり出せました。


手順の詳細はDIYアライメントの全記録にあります。
調整後のステアリングは、センターマークがばっちり真っすぐです。準備万端で、セントラルサーキットへ向かいます。

セントラルサーキットで検証走行|ABSエラーゼロ
いよいよ検証走行です。2号機シェイクダウンでは、ABSが死んだ状態で1分35秒27でした。今回は問題を解決した上での本番走行になります。
最大の懸念は、バックストレート後の右コーナーでした。これまで毎回、ここでエラーが出ていたからです。
アウトラップを慎重に走り、次のラップから全開アタックを開始。右コーナーに差し掛かっても、エラーは点灯しません。次のコーナーでも同様です。最後まで一度も発生しませんでした。完全解決です。
✅ SASモジュールの角度補正により、鬼門の右コーナーでもエラーゼロ。NS-2R 4部山で、ベスト1分35秒906を記録しました。
1分35秒906は、速いのか遅いのか
ここは数字を並べて見ます。
| 項目 | シェイクダウン | 今回の検証 |
|---|---|---|
| タイム | 1分35秒27 | 1分35秒906 |
| ABS | 死亡状態 | 正常 |
| アタック本数 | 複数本 | 3ラップのみ |
| タイヤ | シバ R31 200R 2部山 | NS-2R 4部山 |
| 目的 | 車両の確認 | エラーの有無 |
差は0.636秒です。ただし、この0.636秒に意味はありません。条件が両方向にズレているからです。
タイヤは、シェイクダウンのほうが格上でした。シバ R31 200Rはハイグリップです。一方で今回は、安価なNS-2Rの4部山。つまりグリップでは負けています。
しかしシェイクダウンには、もっと大きな枷がありました。
🔴 1分35秒27は、封印された数字です
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
ABSエラーは、バックストレート後の右コーナーで出ていました。毎周、あの一角だけ踏めなかったのです。ターンインから立ち上がりまでが、まるごと封印されていました。
| 条件 | タイム |
|---|---|
| シバ R31 200R 2部山・ABSエラーあり | 1分35秒27 |
| 同じタイヤ・エラーなしなら | 1分33秒前後 |
| 差 | 2秒以上 |
✅ 1コーナーを捨てるだけで、2秒以上を失います。しかもハイグリップタイヤを履いた状態でです。1分35秒27は、本来の数字ではありませんでした。
だから今回の1分35秒906も、比較対象にはなりません。アウトラップ後の3ラップだけ。タイヤも4部山のNS-2Rです。目的はタイムではなく、エラーの有無でした。
✅ それでも十分な数字です。安価なNS-2R 195/55R15で、35秒台に入っています。ここにシバ R31 200Rを戻せば、33秒台が見えてきます。
次の一手は、タイヤです
そしてABSが直った以上、次はグリップです。ただし4部山のNS-2Rでは、ここから先が削れません。
国産最高峰なら、ヨコハマのA052です。横Gの立ち上がりが違います。
✅ コストで選ぶなら、シバタイヤのR31Zが対抗馬です。実測重量の差は0.1kgでした。
銘柄ごとの比較はサーキットタイヤ6種比較にまとめています。
🔴 横1.2Gでは、身体も持っていかれます
ここで、センサーではなく人間の話をします。1.2Gは、センサーが誤検知するほどの横Gです。
しかもその力は、当然ドライバーにもかかります。ところが純正の3点シートベルトでは、身体が横に逃げます。つまり腕でステアリングにしがみつくことになります。
✅ ロールケージは、ハーネスを留める場所にもなります。安全と操作性を、同時に手に入れる部品です。
🔴 ケージだけ入れても、身体は止まりません。4点ハーネスとセットで初めて機能します。
走行前に、空気圧だけは測ってください
実際、4部山のタイヤほど空気圧の影響が出ます。なぜなら摩耗で、たわみ方が変わるからです。
⚠️ サーキットでは、走行後に0.3〜0.5kgf/cm²ほど上がります。冷間で合わせて、走行後にもう一度見る。これだけでタイムが変わります。
これで、6/6の大阪舞洲ジムカーナにも不安なく参戦できます。
帰宅後|自作固定金具で返却
帰宅後、一つの課題が残りました。お借りした固定金具を、早急に返却する必要があります。ただし純正金具の納品は7月中旬。それまでは、自作の固定金具で対応することにしました。
🔴 外す前に、寸法を取ってください
ここが自作の成否を分けます。外してからでは、正解の角度が分からなくなります。
しかし今回は、正しく付いた状態が手元にありました。つまり借りている間だけが、測れる時間だったのです。
SASモジュールの位置関係を精密にメモ
まず、金尺とノギスでモジュールと車体の位置関係を計測しました。手書きでメモに残します。X・Y・Z軸の寸法と角度の把握が、自作の前提だからです。取り付け位置の記録も欠かせません。

✅ 板厚とボルト穴の径は、ノギスでないと読めません。1mmの差が、角度の狂いになります。
✅ 車体との距離は、金尺が向いています。曲がらない定規なので、基準面をそのまま当てられます。
記録が完了したら、SASコントロールモジュールを取り外しました。これで返却の準備が整います。

コーナンプロで部材を購入し自作金具を完成
いつものコーナンプロで部材を購入し、自作金具を製作しました。重要なポイントは、次の4点です。
- X軸(横方向)を90°に保つ(汎用ステーで対応)
- Y軸(縦方向)を90°に保つ(汎用ステーで対応)
- Z軸(高さ方向)を90°に保つ(板厚15mmのゴム板で対応)
- 純正金具と同じ取り付け位置を再現する

✅ 汎用ステーは、L字とT字が入ったセットが便利です。穴位置を選べるので、現物合わせができます。
✅ 高さの調整は、ゴム板が効きます。板厚15mmを1枚挟むだけで、Z軸が出ました。しかも振動も拾いません。
自作金具による仮固定が完了しました。これで、お借りした金具をお返しできます。7月中旬に純正金具が届き次第、正式に交換します。
⚠️ 自作は、あくまで仮です
この点ははっきりさせておきます。自作金具は、純正が届くまでのつなぎです。
理由は角度の再現性です。つまり純正は、付けるだけで正解の角度になります。一方で自作は、毎回の現物合わせに精度が依存します。
同じ症状で悩んでいる人へ|確認の順番
最後に、今回の教訓を手順にしておきます。
- 走行直後にOBD2でエラーコードを読む(時間を置かない)
- 発生条件を絞る(コーナー・速度・G方向)
- 自分で手を入れた箇所を、正直に洗い出す
- センサー類の取り付け角度を、角度計で実測する
- それでも出なければ、ログごと整備工場へ持ち込む
🔴 いちばん大事なのは3番です。実際、私はここを飛ばしました。そしてセンサーとアースを、12ステップ潰しています。なぜなら自分の作業を疑う前提が、なかったからです。
よくある質問
Q. ABSエラーの原因は何でしたか?
SASコントロールモジュールの取り付け角度が30°ズレていたことです。その結果、横Gが1.1〜1.2Gかかるとセンサーが誤検知していました。角度補正後は、エラーゼロを確認しています。
Q. SASコントロールモジュールとは何ですか?
ECUとGセンサーが一体化した部品です。車両の加速度を検出する要の部品なので、取り付け角度がズレると測定値も狂います。
Q. 軽量化で固定金具を外しても大丈夫ですか?
おすすめしません。実際、金具なしで角度がズレた2号機はエラーが多発しました。たまたま90°近くを保った1号機は無事でしたが、これは運任せです。純正金具は必ず保管してください。
Q. 純正固定金具の品番と納期は?
品番はN247-57-KX0Aです。当時はメーカー在庫なしで、納期は約2か月でした。汎用ステーとゴム板があれば、自作での仮対応も可能です。
Q. 街乗りでABSエラーが出ないのはなぜ?
横Gが小さいからです。街乗りは0.3G前後で、傾きによる誤差もしきい値に届きません。サーキットの1.1〜1.2Gで初めて誤検知します。
まとめ|ABSエラーは厚見自動車さんのおかげで解決
今回のABSエラー解決の流れをまとめます。原因は、SASコントロールモジュールの角度が30°ズレていたこと。軽量化の際に固定金具を廃棄したことが、引き金でした。
- 厚見自動車さんの在庫から固定金具を借用・取り付け
- ステアリングセンターのズレをタイロッドで補正
- セントラル検証走行でABSエラーゼロを確認
今回のトラブルを通じて、厚見自動車さんの診断力の高さを改めて実感しました。修復歴あり車両ならではの複雑なトラブルです。それでもOBD2データを丁寧に読み解き、原因を特定してくださいました。

気軽に相談できる整備工場の存在は、走る人間にとって非常に心強い。厚見自動車さん、本当にありがとうございました。6/6の大阪舞洲ジムカーナでは、2号機の全力でタイムアタックに臨みます。
そして今回いちばんの収穫は、部品代ではありませんでした。「自分の作業を疑う」という視点です。DIYを続ける以上、ここは持ち続けます。
【追記】その後、6/6の大阪舞洲ジムカーナに無事参戦できました。詳しくは舞洲ジムカーナ80参戦記をご覧ください。


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